転職用の履歴書の書き方と例/例文

　まずこの本を読んで感じたのは、一体現代は性というものがどうなってしまったのかである。著者である兼松さんは、売春防止法が施行されたと同時に、婦人相談員として長年多くの女性を見てきたわけであるが、考えてみると、性産業は売春防止法が成立して以降、着実に規制が強化されていたはずなのに、それに反して巨大になってしまっている。（例えば、この本には例が無かったが、週刊誌などの過度なグラビア競争などである。）
　その上、兼松さんは少女が性産業に入ってしまう背景には、男性が性を金で買い、その金を女性が貰えるルートが保証されている環境があるのではないかと指摘しているが、明らかにそうである。それによって、女性がまだ育てる能力を持っていないのに妊娠してしまい、中絶を余儀なくされたりして、酷い時には習慣性流産などの後遺症を負ってしまうのである。私は男性であるので理解し難いが、この様な性産業に入っていたことで生じた苦しみはどんなものなのだろうか。
　この本は女性には性産業の恐怖を、そして男性に対しては性産業に金を貢ぐことによって起こる女性の悲劇を厳しく記録している。必ず読んで欲しいと思う。
　

婦人相談員として、時に母のように、また姉のようにトラブルに巻き込まれたセックスワーカーたちの相談に親身に取り組まれた著者の暖かいまなざしに満ちた記録であり胸を打つ。しかしながら皮肉なことにセックスワ−クが非合法であり、そのワーカーが更正の対象者であるという考えにたつ売春防止法の理念のもと性サービス産業はますます巧妙になり、地下の組織の資金源となり続けているというのも歴史が証明するところである。新しい概念にもとづく真にセックスワーカーたちの自立と労働衛生が保証されるような法律づくりを考える最良の材料を「歴史の証人」として本書は与えてくれているともいえる。